研究テーマ

安心・安全な分散コンピューティングに関する研究

人工知能の学習やデータマイニングを行う際には、巨大なデータに対する複雑な処理が必要です。これらの処理を効率的に行うためには、複数の計算機上にタスクを分散して処理を行う「分散コンピューティング」が有効です。しかしながら、データをそのままの形で外部の計算機に移して処理を行ってしまうと、データのプライバシーを守ることが出来ないという深刻な問題が生じます。

そこで、データを予め暗号化したり符号化したりしてから分散コンピューティングを行うことで、データのプライバシーを守りつつ効率的な計算を実現する技術が注目されています。当研究室では、安心・安全な分散コンピューティングを実現する以下のような研究を行っています。

  • 入力データを秘匿するとともに、不正な計算結果を返す計算機や処理が遅い計算機が存在する場合でも分散コンピューティングが正しく行えるような符号化方式に関する研究
  • 個々の計算機が秘密を開示することなく計算処理を行うプロトコル(マルチパーティー計算プロトコル、MPC)の効率化と安全性に関する研究
無限個のシェアを生成可能な秘密分散法に関する研究

暗号化のためのパスワードは、各ユーザが大切に保管するのが基本です。ところが、もしそのユーザがパスワードを忘れてしまうと、秘密は永遠に復元できなくなってしまうという心配があります。そこで、例えば、プロジェクトに関わる全員にパスワードの「断片(シェア)」を渡しておき、そのうちの例えば3人以上がシェアを持ち寄ったときだけパスワードが復元できる、というセキュリティ技術 ― 秘密分散法 ― が知られています。

従来の秘密分散法では生成できる「シェア」の個数に制限がありましたが、この制限をなくして無限個のシェアを生成できる秘密分散法に関する研究を行っています。また、このような秘密分散法を様々なセキュリティ技術に応用する研究も行っています。

  • 発展的k-しきい値アクセス構造に対する秘密分散法の構成とシェアサイズの評価
  • 一般の発展的アクセス構造に対する秘密分散法の構成
  • パーティー数が動的に変化する場合のMPCプロトコルの構成
各種暗号方式・情報セキュリティに関する研究

上に述べたテーマの他にも、様々な暗号化方式や情報セキュリティ技術に関する研究を行っています。

  • 検索者のリクエスト内容をデータ保持者に開示せずに情報検索を行うプロトコルに関する研究
  • 格子に基づく暗号方式に関する研究
  • 視覚復号型秘密分散法に関する研究
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